
「やってはいけないウォーキング」という本の紹介です。
この本は、青柳幸利さんという群馬県中之条町出身の医学博士が書かれた本です。
歩くことで健康寿命を延ばすためにはどうしたらよいかということが書かれています。この本を読んで生活の質(クオリティーオブライフ)の向上にお役立てください。
・世界を驚かせた中之条研究とは
「中之条研究 」のユニークな調査方法
「中之条 」とは、青柳先生の生まれ故郷である、群馬県中之条町を指します。
この街で行われた健康調査は65歳以上の全住民、5000の人の生活を24時間365日、10年にわたって行った世界でも類を見ない追跡調査です。
この研究をある海外の有名な学者が 「中之条の奇跡」と呼びました。
この5000人の方たちに、毎年1回、詳細なアンケートを行っています 。
記入項目は、日頃の運動の頻度や時間、生活の自立度、睡眠時間、食生活・・など多岐にわたりますが、これをみなさんがすべて記入してくれたそうです。
さらに驚くべきは、その回収率は毎年99%を誇ります。残りの1%は、入院や転出など、やむを得ない事情で記入できなかった方だけだったようです。
調査方法は、5000人全員に「身体活動計」を着用してもらいました。その着用ルールも厳密に決めてありました。
①1日4分の3=18時間かつ朝7時~夜7時のうち9時間装着していること
②1年の4分の3=9カ月間約270日間装着していること
これらの条件を満たす場合のみを分析の対象とするという厳しいルールを設けているにもかかわらず、対象外になったのはたった5%だったようです。
残りの95%は、朝起きるとすぐに身体活動計を装着し、毎日18時間以上、年間270日以上の生活を15年間に渡り続けてきた研究が、「中之条の奇跡」と呼ばれる所以なのだと思います。
・医療費を3割削減した「運動強度」とは?
この研究で生活習慣を見出す上での「ものさし」にしたのは「歩く」ということでした。
この歩くとういう行為を、「歩数」と「強度」いう観点から考えて歩く「質」というものを「運動強度」して調査をして、その黄金比を青柳先生をはじめ複数の研究者によって長いプロセスを経て導き出したのが、「8000歩/20分」という数字でした。
「8000歩」歩くということで身体活動計を持っていれば誰でも測ることができる数値です。
しかし、「20分」というのは、中程度の運動を20分行うということで、こちらについては個人差があります。中程度の運動として思い浮かぶのは、早歩きと言われることもよくあります。
ならば、どれぐらいの早歩きであれば中程度の運動なのか、それは、「なんとか会話ができる」くらいの早歩きが中程度の運動になります。
この中程度運動を「汗をかく」ことを基準にするということも聞きますが、実はこれはあまり参考にはなりません。それは、体調によっても汗の出方は違いますし、また季節や気温、湿度などによっても汗の出方が変わってくるからです。
・「体温との関係」
ウォーキングをすることは、健康維持につながりますが、それではなぜウォーキングをすると健康になれるのでしょうか。
それは、「体温を理想的にできるから」です。
平均体温は健康と大きく関係していて、体温が下がると免疫力が低下し、病気にかかりやすくなります。
・平均体温が1度上がると免疫力は約60%アップする。
・平均体温が1度下がると免疫力は30〜40%低下するようです。
この体温は、運動に適している時間帯があります。
朝は体温が低く、運動するのに適していないようです。
夕方は体温が高くなる時間帯で運動に適している時間帯なのです。
なので、陸上競技の短距離走の決勝は記録が出やすい夕方の時間にプログラムが組まれているようです。
しかし、我々は、そこまで日常生活の中で歩く時間を調整できないので、
「起床後1時間以内」「就寝前1時間以内」を除いた時間帯で調整して取り組めば良いということです。
・2ヶ月で長寿遺伝子にスイッチが入る
何事も三日坊主はダメです。耳が痛い言葉ですね。
「長寿遺伝子」って知っていましたか?
長寿遺伝子とは、体内で細胞の損傷を防ぎエネルギー生産に影響を与えている「サーチュイン」という酵素をつくる働きを持った遺伝子だそうです。
長寿遺伝子を活性化するには中程度の運動を1日20分、2ヶ月間続けることで長寿遺伝子のスイッチが入ることが研究で証明されています。
1日20分というところは見事に中之条研究と一致していることは素晴らしいですね。
しかし、この長寿遺伝子は、2ヶ月ほど休むと再び眠りについてしまうようです。
私は子供の頃、空手を習っていたことがありますが、その時稽古の初めに「空手道は湯の如し、鍛え去れば元の水に帰る」と唱和していたことを思い出しました。
「理想の8000歩/20分するための方法」
では実際に理想の8000歩/20分に近づけるにはどうするのかを
1. 今の状態を知る
2. 1、と理想の8000歩/20分を比べる
3. あなたの生活の中で「足りない部分」を補う
4. 毎日、記憶しながら続けていく
という内容でわかりやすく書かれています。
この本では、その他にも、「ガン」「動脈硬化」「骨粗しょう症」「高血圧」「糖尿病」なのどの予防について、「毎日続けられない人、ズボラな人はどうしたらいいか」など盛りだくさんの内容で、健康増進のためにとてもオススメの一冊です。
是非お手にとってお読みください。
本の題名/やってはいけないウォーキング
著者/青柳幸利
出版社/SB新書