視覚/季節を感じる葉の色の変化

新緑の季節には、鮮やかな緑であった草木の葉の色も、季節の移り変わりとともに黄色く色が変化し、枯れ果てていきます。一年中で四季を感じさせてくれる植物の色の変化は、一体どのように起こるのでしょうか。

芽生えたばかりの葉には、光合成を行う葉緑体に含まれるクロロフィルという色素が多く存在し、長波長光(赤)と短波長光(青)を吸収し、中波長光(緑)を反射することで緑に見えていました。しかし、黄色く色ずくころには、葉は寿命を迎え、クロロフィルが減少し、カロテノイドというほかの色素の働きが目立つようになります。カロテノイドより、短波長光(青)のみ吸収され、長波長光(赤)と中波長光(緑)を反射するようになり、結果、黄色く見えるようになるのです。カロテノイドはもともと存在していますが、クロロフィルの量に比べて少ないため、クロロフィルが減少することでその存在が前面に出てくるようになります。

また、植物によっては、紅葉するものもあります。これは、秋になるとアトシアニンと呼ばれる色素が葉の内部につくられるためです。アントシアニンは短波長光(青)と中波長光(緑)を吸収し、長波長光(赤)を反射するため、葉が赤く染まって見えているのです。

 

色を感じ取る色覚を持つことで、緑の葉が生い茂る中、熟して赤くなった食べごろの実を発見し、命をつなぐことができます。そして、自然の四季の変化を感じ取れることが心の癒しとなるのです。

 

 

日本成人病予防協会 総務省認証 学術刊行物より