嗅覚/加齢臭

●原因

加齢臭の原因となるにおい物質は、大きく分けて二つあると考えられています。一つは、「ノネナール」と呼ばれるにおい物質です。ノネナールは、皮脂腺から分泌される脂肪酸が酸化・分裂されることで生まれます。青臭く、古本のようなにおいを放ちます。年齢が若いと脂肪酸が分泌されてもホルモンの働きによって酸化を防ぐので、ほとんどの人はノネナールが発生しません。しかし、40-50代になると加齢によってホルモンの働きが衰えてくるため、男女問わずノネナールが発生し、加齢臭を発するようになります。

もう一つは、「ジアセチル」と呼ばれる近年発見されたにおい物質です。汗に含まれる乳酸がブドウ球菌によって分解されジアセチルが発生し、後頭部付近にかく汗が脂臭くなります。女性には発生せず、男性特有のにおいといえます。ジアセチルのにおいはノネナールの約100倍も広がりやすいという特性があり、さらに口臭の原因物質の約1.4倍、足臭の原因物質の約1.5倍も臭いと感じ、周囲に不快感を与える可能性が高いといわれています。ジアセチルを原因とした加齢臭は30代ころから発生します。特に、皮脂の分泌が増える40代前後の男性は、ジアセチルが多くなると同時に、ノネナールも同時に発生し始めるため注意が必要です。ノネナールは胸部、背中、頭部から発生し、ジアセチルは後頭部や首から発生しますので、自分では気付きにくい部分です。

また、不規則な生活習慣、偏った食事や過度なアルコール摂取、運動不足、睡眠不足などの要因は加齢臭を悪化させる原因となります。そして加齢によって腸内細菌のバランスが崩れることにより、皮脂の酸化が進み、肥満や疲労によってさらにアンモニアを分解する肝機能が低下します。そうしたことによって発生した体臭は清潔にするだけでは改善することはできませんので、規則正しい生活を送るようにしましょう。

●対策

加齢臭を抑えるためには、加齢臭が発生する部分をしっかり洗うことが大切です。特に頭部はにおいが発生しやすいので、日々の洗髪でしっかりと清潔を保ってください。また、加齢臭は衣類ににおいが移りやすいため、こまめに着替えることも対策になります。ジアセチルを発生させないためには汗に含まれる乳酸の分泌を抑えることが重要です。乳酸の分泌は血行不足によって過剰になりますので、栄養バランスの偏った食事や運動不足、喫煙、不規則な生活などは改善していきましょう。

 

<加齢臭対策のポイント>

・しっかり洗う

・こまめに着替える

・運動不足にならないよう、適度な運動を心がける

・入浴やマッサージで、汗をかく習慣をもつ

・緑黄色野菜を積極的に摂取し、ビタミンⅭを取る

・香水や柔軟剤はわずかでも効果があるので、小量にするように心掛ける

 

   日本成人病予防協会 総務省認証 学術刊行物より