聴覚/音は空気の振動

●音は空気の振動

私たちが耳でとらえる音の正体とは何でしょうか。音を出す物体の共通点は、振動しているということです。音は、この振動が空気中を伝わる現象のことです。太鼓のような楽器は、表面の膜が振動することで音を出している分かりやすい例です。しかし、携帯電話のスピーカーやイヤホンなど、一見振動していないような機械の中にも、実は空気を出すために振動する部品が組み込まれています。音を出すものであればどんなものでも空気を振動させています。

また、この振動は、例えば太鼓ならば革を、ギターなら弦を、叩いたり、つま弾くことで生じます。その動きによって、革や弦のそばにある空気が押されたり引かれたりすることで、空気の圧力の高低が繰り返され、それが音の波として空間に広がっていきます。つまり、音とは、空気の圧力の高低が繰り返す振動です。このような繰り返しの変化で伝わっていくエネルギーを波といいます。波は、波長と振幅によって性質が変化します。

空気のない宇宙のような真空中では、物体に大きな振動を生じさせても、音を伝える物質が存在しないため、音は聞こえないのです。また、遠くの音が聞こえない理由も、空気の振動の伝わり方に原因があります。空気の振動は、遠く離れるにつれて波の振幅が段々と小さくなっていくため、聞こえにくくなります。

 

  日本成人病予防協会 総務省認証 学術刊行物より