聴覚/モスキート音は若者だけに聞こえる?

健康診断で行う聴力の検査では、2種類の音を聞きます。その際、初めに聞く「プープー」という低い方の音は、日常会話で一番使用される高さの音で1,000㎐に値します。後から聞く「キーキー」という高い音は、鈴虫の鳴き声と同じ4,000㎐に相当します。このどちらかの音が聞き取れない場合、難聴になっている可能性があります。

人間が聞き取れる音の周波数は、20㎐から20,000㎐といわれていますが、その中でモスキート音とは、17,000㎐程度の高周波の音を示します。キーンという嫌な音が特徴で、耳年齢の若い方には、かなり気に障る、聞くに堪えない音となります。

モスキート音のような高周波の音が聞こえるのは、内耳にある蝸牛の有毛細胞がしっかり生え揃っているからです。全ての音の振動は蝸牛の入り口から入るため、入り口近くの有毛細胞から負荷がかかりやすくなります。有毛細胞は新たにつくられることがないため、損傷して死滅してしまうと元には戻りません。

入り口近くの有毛細胞は高音を感知します。そのため、蝸牛の入り口付近の有毛細胞の数が少なくなると、高音域の聞こえが悪くなり、モスキート音を聞き取れないことが多くなります。ただし、これには個人差があり、大きな音は繊細な有毛細胞を傷付けてしまうため、大音量で音楽を聴き続けたり、日常的に騒音が多いと、負担をかけてしまい若者でもモスキート音の聞こえ方に影響がでてくることがあります。

音に囲まれた生活をしている私たちにとって、たまには森林浴などに出掛けて静かな場所で耳を休ませることも必要でしょう。

 

 日本成人病予防協会 総務省認証 学術刊行物より