聴覚/歌の上手と下手の原因は?

自分の声と他人の声の高さが同じかどうかわからない
自分の声と他人の声の高さが同じかどうかわからない

歌がうまく聞こえない人にはどんな原因があるのでしょうか。それは、自分の声の音の高さが、自分が本来出したい高さと合っているかどうかが分からないことが大きな原因であるといわれています。

私たちは外部の音と同じように、自分自身の声についても内耳を通して聞いています。自分の声を聞き、それが本来出したい音の高さと違うことを脳が認識できれは、脳から発声器官の筋肉に指令を出し、正しい高さに修正することができます。

自分が出している声の高さ(音高おとだか)や音程を自分でチェックすることを「内的フィードバック」と呼んでいます。内的フィードバックができない人は、自分の声と他人の声の高さが同じかどうかが分かりません。そのため、声の高さを正しい高さに修正できず、音が外れてしまいます。内的フィードバックが正しくできているかどうかを確認するためには、例えば、「ド」の高さの声やピアノの音を出し、Aさんに同じ高さの音を出してもらいます。同じ「ド」の高さの声が出せており、且つAさん自身に同じ音高で歌えたという認識があれば、Aさんは内的フィードバックが正しくできています。また、もし同じ高さの声を出せなくても「音高が違う」という認識があれば、少なくとも内的フィードバックはできているといえます。

自分で聞く自分の声と他人が聞く自分の声は完全には一致しないため、自分の声の高さを正しく認識することは難度が高いのです。

それを修正するためには、正しい音を聞き同じ高さの声を出してもらい、それが同じ音高か、それとも高いか低いかをその都度指摘して、自分の声の音高に対する認識のずれを修正する作業を続けることによって、実際に多くの人に音痴の改善がみられています。音痴とは、正しい音程で歌う能力が欠けているのではなく、歌う能力が発達する途中の段階なのです。訓練次第で音痴を克服できる可能性は大いにあります。

 

 

 日本成人病予防協会 総務省認証 学術刊行物より