聴覚/正しい耳掃除をしよう

●耳垢の役割

分泌物により適度に粘着性のある耳垢は、耳の穴に挿入したゴミやホコリを吸収する役割を持っています。そして外耳道を通って外へ外へと流れて、それらを耳垢として運び出してくれるのです。

外耳道表面や鼓膜の外側は比較的薄い皮膚組織であるため、耳垢はそれらを物理的に保護して、分泌液によって湿潤を保っています。また、耳垢には感染防御の役割もあり、耳垢の成分は酸性で、中にはリゾチームやLgAなどが含まれているため、抗菌作用も併せ持っています。

●正しい耳掃除の方法

耳の入り口から約3.5cm先に鼓膜があります。そこまで達しないように注意しましょう。耳垢線(汗腺の一種)という耳垢をつくるための場所が外耳道の外側から3分の1部分であるため、耳垢が溜まるのは入り口から約1.5cmまで、およそ綿棒の頭一つ分と覚えておきましょう。耳には自浄作用があり、耳垢を自然と体外へ排出する働きがあります。そのため、月1~2回の掃除で十分です。耳の奥まで耳掃除をやりすぎると、せっかく外に出ようとしていた耳垢を奥へと押し込んでしまい、耳が聞こえづらくなってしまいます。

また、耳垢はカサカサとした乾燥耳垢と、ベトベトとしたアメ状の湿性耳垢の2種類に分けられます。日本人の7~8割が乾性耳垢ですが、欧米では湿性耳垢が多いといわれ、これらの性質は遺伝によって決定されます。この乾湿の違いは、耳垢線からの分泌物の量の差や、耳垢線自体の数によります。

乾性耳垢の人は、耳かきまたは綿棒で耳の穴の外側1.5cmほどの部分を耳の壁をなぞるようにやさしくっ外に向かって掃くようにして耳垢を掻き出します。

湿性耳垢の人は、綿棒をそっと耳の穴へ1.5cmほど入れたら、らせんを描くように外に向かって3~4回拭き取りましょう。

 

 日本成人病予防協会 総務省認証 学術刊行物より