触覚/鋭い痛み・鈍い痛み

痛覚神経
痛覚神経

私たちの感じる痛みは1種類ではありません。皮膚を切ったときに感じる「鋭い痛み」だけでなく、じんじんとしびれるような「鈍い痛み」もあります。この痛みの違いはどのようなしくみで起きているのでしょうか。

体の表面には、さまざまな外部の刺激を受け取る神経が張り巡らされています。何かに触れたときに伝える「触覚神経」、熱さや冷たさという温度感覚を受け取る「感覚神経」などです。そして、その中の1つに、痛み信号を伝える「痛覚神経」があります。痛覚神経には、「Aδデルタ繊維」や「C繊維」などがあり、Aδ繊維は鋭い痛みの信号を伝え、C繊維は、鈍い痛みの信号を伝えます。

Aδ繊維は、秒速5~15mという速い速度で信号を伝えますが、C繊維はその10分の1ほどの速さでしか伝わりません。殴られた瞬間鋭い痛みを感じ、その後じんじんとした痛みが残るのは、先ずAδ繊維が素早く痛み信号を届け、少し遅れてC繊維からの痛み信号が脳に届くためです。

Aδ繊維とC繊維は、伝導速度だけでなく、全身の分布も異なります。皮膚表面にはAδ繊維もC繊維も張り巡らされていますが、内臓の中には、Aδ繊維があまり存在しないため、腹痛を起こしても、お腹のどの部分が痛いのか自分でもよく分からず鈍い痛みが続くのです。

日本成人病予防協会 総務省認証 学術刊行物より