触覚/温覚・冷覚

温覚感受性閾値(上:温覚 下:冷覚)
温覚感受性閾値(上:温覚 下:冷覚)

皮膚には、温かさに反応する温覚と、冷たさに反応する冷覚がありますが、温度のを感じるものに触れたとき、温点、冷点で受けた刺激を自由神経終末という受容器で電気信号を変えて、大脳皮質の体性感覚野で検知しています。

温覚は40℃くらいで最も温かさを感じ、冷覚は25℃くらいで最も冷たいと感じます。そして、45℃以上や10℃以下になると、痛みを感じるようになります。それは、体に危険が及ぶ可能性があるため、痛み情報を送るようになっているのからです。

 

<少ない温点>

温点と冷点は、触点と痛点に比べると数が少ないのですが、特に温点の数が少ないことが昔から知られていました。また、温点は体の部位によって極端に密度が違います。例えば、口唇は足裏に比べて温点の密度が約6倍高いのです。まぶたや指先にもお温点が多いといわれています。

数の少ない温点の場合、受容器への刺激が伝わりづらく、皮膚に温覚を欠く部分があることになります。事実、これまでの研究で温点の欠損している部分があることが分かりました。しかし、実はこのような部位にも受容器がないわけではありません。本当は温点の数よりもはるかに多い数の受容器があるのです。温覚を感じるには、一度に広い面積が刺激されて、複数の受容器が興奮することが必要です

 

<温度感覚の老化>

人間は年齢を重ねると、視力や聴力に限らず温度感覚でも老化がみられます。図は、体の部位で皮膚温度33℃を基準にして数秒単位で温度を変化させ、温度変化を感じることができた平均閾値(いきち)を示しています。閾値とは反応を感じるために必要な値です。例えば、つま先では若年層に比べ60歳以上の群では、5倍ほどの温度にならなければ温かさを感じられなくなっています。

どの部位でも温覚より冷覚のほうが、感受性がよいことが読み取れます。また、顔や腕などの上司に比べて、つま先や足裏などの下肢の方が、温度感覚が鈍く年齢による感度の低下も大きくなっています。

 

日本成人病予防協会 総務省認証 学術刊行物より