がんの早期発見への新技術

<血液1滴で卵巣がんの判別>

国立がん研究センターなどの研究チームは、血液1滴を使った検査法で卵巣がんを98.8%の高い確率で判別することに成功したと発表しました。血液中に分泌される微小物質「マイクロRNA」を検出することで、13種類のがんの有無を同時に診断できる検査法です。特に卵巣がんは自覚症状が現れにくいため、早期発見や治療向上につながる成果として期待されています。

<尿で乳がんや大腸がんを発見>

日立製作所は、国内で初めて尿で乳がんや大腸がんを発見する技術を確立しました。尿に含まれるアミノ酸や脂質の中から、がんの目印となる約30種類の物質「バイオマーカー」を分析して乳がんや大腸がんを見分けます。2020年代に実用化を目指されています。

<血液検査でがん遺伝子の異常を発見>

国立がん研究センターは、大腸がんや胃がんなどに関係する73種類の遺伝子異常を血液検査で調べて、治療に役立てる医師主導の治験をはじめたと発表しました。血液を採取するだけで、がん細胞から放出されたDNAを検出することが可能になります。現在は内視鏡や針でがん組織を採取しており、患者の負担が大きくなっていますが、血液で分かれば検査を繰り返し行うことができ、治療効果の高い抗がん剤を選びやすくなります。

<AIでがんの早期発見>

人工知能(AI)をがんの初期発見に活用する技術が、さまざまな研究機関で開発されています。CT画像や内視鏡画像をAIで分析し、高い精度でがんを検出することができるようになり、肉眼では分かりにくい小さいがんでも発見できる可能性があります。また、患者から採取した細胞を分析し、がんを判定する「病理検査」でAIを活用する技術では、これまで約30分かかっていた検査時間を約2分に短縮することができます。

日本成人病予防協会 総務省認証 学術刊行物より