マラソンによる換気量と肺胞の変化

1回の呼吸により吸って吐ける空気の量を「1回換気量(VT)」といいます。一般の人の安静時における1回換気量は約500㎖といわれています。また、1分当たりの換気量を「分時換気量(VE)」といいます。これは「1回換気量」×「1分間の呼吸数」で求められます。個人差はありますが、私たちは安静時で毎分12~15回の頻度で呼吸を行っているので、安静時の分時換気量は6~8ℓになります。

マラソン中は横隔膜の下にある内臓が振動により動き、横隔膜の働きが制限されるため、マラソンをする人は肋骨を動かす外肋間筋が発達していきます。外肋間筋によって肋骨を上げたり下げたりすることで、肺が膨らんだり縮んだりしやすくなり、1回の換気量が増加します。

また、マラソン中の呼吸は、筋肉により多くの酸素を供給し、産生された二酸化炭素を排出するために増加します。その結果、一流のマラソン選手の分時換気量の最大値は、一般の人の20~30倍の約180ℓにもなります。

さらに、マラソンをする人はトレーニングにより肺胞でのガス交換を行う機能が向上し、酸素を血中により多く取り込むことができます。

このように、マラソンをすると外肋間筋の発達により、換気の増加が起こり、肺胞の機能が向上します。

 

※ランニング、ジョギングを含め「走ること」を総称して「マラソン」という表現を使っています。

日本成人病予防協会 総務省認証 学術刊行物より