まず、ピラティスは「体幹・コア」の強化に注目しています。
「体幹」とは、簡単にいえば体の中心、つまり胴体のことをいいます。姿勢の保持やあらゆる動きの土台となる部分です。また、「コア」とは、この体幹にあるインナーマッスル(深層部)、椎骨一つ一つをつなぐ「多裂筋(たれつきん)」(脊椎分節筋)、下部肋骨・胸骨・腰椎を結ぶ「横隔膜」、恥骨、尾骨をつなぐ「骨盤底筋群」の主に4つの筋群から構成されており、これらは腰や骨盤、背骨などを支える役割を担っています。
ピラティスは、コアの体の力の源として考えています。ピラティスによってコアを安定させることで、体の土台である体幹をしっかりとつくることができるのです。
●腹横筋:腹部のコルセットのような役割を持つ筋肉
腹横筋は、側腹筋(脇腹)の最深部にあり、腹部の圧力(腹圧)を高め、腰回りと体幹を安定させ、内臓を正しい位置に収める役割があり、呼吸をする際にも働きます。
●多裂筋(脊椎分節筋):脊椎を安定させる筋肉
多裂筋は、脊椎の深層部にある細かな筋肉の連なりで、首から腰にかけて脊椎を構成する椎骨(ついこつ)を一つ一つつないでいます。多裂筋があることで、体を滑らかに動かすことができます。
横隔膜:腹腔の天井、呼吸をするために欠かせない筋肉
横隔「膜」と呼ばれますが、実際には半ドーム型をした筋肉の束です。
腹腔の「天井」部分にあたります。息を吸うときに収縮し、腹腔内の内臓を下方に押し込むと同時に、腹腔の内圧を下げることで、空気を肺に導入します。
●骨盤底筋群:骨盤や内臓を支える筋肉
主に恥骨と尾骨の間を走る複数の筋肉から構成され、「骨盤の横隔膜」とも呼ばれています。腹腔の床に当たり、膀胱や腸、女性では子宮などの内臓を支えている筋肉です。直腸や尿道、膣が骨盤底筋群を通り抜けているため、尿や便のコントロールもしています。
<筋肉のバランスを鍛える>
コアを強化するときに大切なのは、筋肉量のバランスを整えることです。背骨、お腹、骨盤周辺の筋肉を意識することによって、前後左右全体の筋肉が偏ることなく付いていくことが重要です。筋肉の偏りは歪みを引き起こす原因となり、その歪みは体の不調の原因となります。バランスよく筋肉が付き、足の裏から頭の先までが糸を張ったように真っすぐと伸びている状態が、コアがしっかり維持できている状態なのです。
日本成人病予防協会 総務省認証 学術刊行物より